(おばあさん) それはそうかもしれないが、あれもこれもやって仕舞わなければならない事ばかり、 しかも代わりにやってくれる人もいないのに、無理でもやるしかないのだから仕方がない。 (私) それはその通りですね。 <またまた、メモを一枚取り出して> <おまんじゅうがたに盛り上がった仕事の山を描く> たしかに、やりたい事、やらなければならない事、てんこ盛りでやりつくすなんて事は、 なかなか出来ないですよね。 でもね、その仕事の山をよくすかしてみると、 <おまんじゅうの端っこを小さく塗りつぶし、そこから線を引きだして 「今やらなければ、命にかかわる事」と書く> 息をしなければ生きられない、食べなければ生きていけない。 落ちてくる石から逃げなければ、当たって死んでしまう。 それをしないと死んでしまうことなら、それをやることで命をなくしても仕方がない。 <塗りつぶした隣に、また小さく斜線を引いてくぎり、そこから線を引きだして 「今やらなければ、二度とやりなおしの出来ない事」と書く> 親の死に目に会いに行くとか、子供が川に流されそうになっているのを必死で 捉まえに行くとか、たき火が家に燃え移りそうになっているのをバケツで消し止 めるとか、とにかく今を逃したら二度と取り返しのつかない物のためなら、 命をかけても仕方のない事もある。 だけど、それってやらなきゃならないと思っている事の中で、どのくらいありますか? (おばあさん) そう言われたら、そんな大事はめったにないよな。 (私) そうですよね。 じゃあ、残った大部分はなんでしょう。 <白く残った部分から線を引きだし「今やらなくても、命にはかかわらない」 「今やれなくても、やり直しが出来る」と二つ続けて書く> 今やらなくても、命には係わらないし、今やれなくても、後でやり直しのきくものという事ですよね。 そういった事のために体を壊すのって、馬鹿らしくないですか? <おまんじゅうの半分くらいに縦線を入れて、塗りつぶした部分が入った半分から線を引きだし 「出来る分」真っ白な半分からも線を引きだし「明日」と書く> どうしてもやって仕舞わなければならない事は仕方がないとして、 そのほかの物はその日に出来る分だけやって、残りは明日でいいのではないでしょうか? (おばあさん) まあ、そう言われればそのとおりなんだけど、中途にすると気分が悪いから、やって仕舞いたくなるんだよね。 (私) そこです。 その欲と二人連れとなった時に、身体(からだ)の声を無視してしまうことになるのです。 草取りも、別に今日中に取って仕舞わなければ草が逃げてしまうから、もう取れなくなる というわけではないし、草が首丈まで延びたら首を切られるわけでもない。 床を指でなぞって、埃がついたら鞭で打たれるわけでもないし、確かに、今、鍋から料理 を移そうとする皿がなければ困るけど、食卓を整えるのに必要な食器が並んでさえいれば、 たとえ、流しが山盛りになっていても困りはしないでしょう? やれる分だけの仕事をして、残りは、やれるときにやればいいのですよ。 |
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