梅雨の終わりを告げる、入道雲が湧き立つ様になった頃のある日 (私) おはようございます。 このごろ、お腹の具合はいかがですか? (30前後の会社員) <過敏性腸症候群のため、服薬の調整を続けている> うーん、うまくいっていない。 ここ数日、水のような便が続いていて、トイレに行きたくなるたびにキリキリと絞られるような痛みが出てくるんだ。 (私) それでは、症状が最初のころに戻った感じなのですね? (会社員) そうなんだよ。 下痢をしたからといって、便をまとまり易くする薬だのお腹の痛みを抑える薬ってやつをもらうと、 便秘になるし、かといって便通を整えるお薬だの下剤を飲むと、下痢になるし、腸の動きを整える薬というのは、効いているんだか効いていないんだか、さっぱり変化を感じられないし、病院の薬を飲むとかえって具合が悪くなる気がする。 (私) そうですか。 なかなか症状を落ち着かせられなくて申し訳ありません。 えーっと、前回はお腹の痛みを起こし難くする薬を飲んでいたら、便が堅くなりすぎて、いくらトイレで息んでも出せなくなっているというので、便を軟らかめに誘導するために、弱い下剤を頓服で飲んでもらうことにしたのでしたよね? (会社員) そうそう、お腹の痛みは止まっていたから、便秘のもとになったお腹の痛みどめを止めて、 早く便を出そうと、新しく出た下剤をしっかり飲んだんだよ。 そしたら、3日目位から下痢になってきて、今度は下痢が止まらなくなっちゃった。 しかも、下痢がはじまったら、前と同じお腹の痛みまで、ぶり返してるんだ。 (私) <ちょっとため息をつきながら> いやー、それではなかなか安定した効果を出せなくても、仕方のない事ですね。 それぞれの薬は、ちゃんと役目を果たしているのですが、使われ方が乱暴だったり、 その時に合った使われ方をされていないために、いい効果を出せないでいるのですよ。 (会社員) そんな事はないでしょう。 だって言われたとおりに薬を飲んだのに効かないんだから、出された薬が悪いのに決まってる じゃない。 (私) 残念ながら、話をうかがったかぎりでは、それぞれの薬はきっちり役割を果たしています。 だだ、それが必要とされる場面に合っていなかったり、むしろ効きすぎになってしまい、 逆に症状をより辛いものにしてしまっているという事です。 (会社員) そんな、薬がちゃんと効いてるのに症状が良くならないだなんて・・・ それに、散々、胃カメラや腸のカメラをやらされて、挙句に「なんにも異常はない」と言われ たんだったよね。 なのに、症状だけ続くってどういう事なの? |
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