第三診


「病気の仕組みを理解しよう」

(私)
まさしくその通りです。
病気を理解して、どんな時に胃からの逆流が多くなるのか、どうすれば食道粘膜のただれ
を起こさずに済むのかという事を考えていただければ、ずっと胸やけで苦しむ回数は減り
ますし、それに合わせて薬の量を減らすことも可能です。

<一枚のメモを取り出し、正常の胃の絵を描く>
正常の胃袋というのは、このように胃と食道の境目が横隔膜と一致していて鳥のくちばし
のように先細りになっているので、食べ物が食道から胃に入るのは問題ないが、胃の中
の物は上に戻りにくくなっています。

<その隣に、ヘルニアを起こした胃の絵を描く>
それに対してあなたの胃は、このように胃と食道の境目がずれてしまったため、胃の入り
口がきちんと閉まらず、上にも下にも物が通り抜けやすくなってしまっているのです。


(男性)
なるほど、だから胃の酸っぱい水が上がって来て、胸やけがすると・・・

(私)
はい、それなので、気つけてほしい事が三つあります。
一つ目は、胃が膨らんでいる時に動かないようにする事。
<「食べたら休む」と書く>
つまり、食事の直後など、胃の中にいっぱい物が詰まっているときに体を動かすと、
中の物がゆすられて、戻ってきやすくなりますよね。

<胃の絵のメモをゆすって見せる>
あと、休む時も座って休むように心がけましょう。
胃が膨らんでいる時に体を横にするとやっぱり戻ってきますよね。
<胃の絵を横にして見せる>
夜遅くに何か食べてしまった時は、右を下にして横向きで寝るか、背中に物を当てて体を
半分起こした状態で眠ることを心がけましょう。

<水平に寝る人型と背まくらを入れて起座位にした人型を描く>
二つ目は胃酸が出過ぎないようにさせる事。
<「不規則な生活と刺激物に注意」と書く>
食事の時間が不規則で、空腹でいる時間が長かったり、お酒や辛い物などの刺激の多い
食べ物が続いたり、ストレスの多い生活をしたりすると、胃酸が出過ぎて胃に悪いと
いうのは一般に知られていますが、この病気でも同じ事です。

強い酸が逆流すると、その分強くただれてしまいます。
三つ目は、頭を下に下げない事。
<「地面の仕事をする時にはしゃがむ」と書く>
たとえ胃の中が空っぽでも、胃の液は必ず胃の中にあるのだから、こうやって頭を下に
すると当然逆流します。

<胃の絵のメモを逆さにして見せる>
だから、地面にあるものを拾ったり、下にある物を持ち上げるときには、こうやって
腰を曲げて頭を下げるのではなく、ちゃんとしゃがんで、体を起こしたままで仕事を
するように気をつけましょう。

<膝を延ばして頭を下げる人型としゃがんで胸を立てて仕事をする人型を描く>

(男性)
言われてみればもっともなことばっかりだが、守るとなると結構面倒だなーー

(私)
それもその通りなのですが、逆にそれを習慣にしてしまえば、ずっと楽に暮らせるように
なるのは確かです。

何といってもあなたは、昨日、三つのお約束破りをしたために、今朝苦しくて目が覚める
ことになってしまっているのですよ。


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