第三診


「風邪の特効薬は「まくら」」

(私)
実はその通りなのです。
もともと、体に備わっている免疫の力が働いて、勝手に治っているだけなのですよ。
ただし、治るのにはそれなりの時間がかかるので、その時間がかかっている間、熱が高かったり、咳がひどかったり、のどが痛かったりと辛い症状が続いていると、余計に体力を消耗してしまって、体を休ませたくても休ませてあげる事が出来ないので、風邪から湧いてくる辛い症状を感じないように誤魔化して、体を楽にしてゆっくり休ませるために使うのが、
風邪薬の使い方なのです。


(主婦)
そうなんだーー 

(私)
そうやって、風邪薬で症状を抑えている間にしっかり体を休ませることで、十分に免疫が
働いて、風邪をやっつけてくれる。

そうすれば、いざ、風邪薬が無くなった時には、風邪がいなくなっているので、症状がぶり返す事もなく、すっかり治ったということになります。
でも、風邪薬を飲んで症状が軽くなったのを治ったと誤解して、余計なことに体力を使ってしまうと、肝心の免疫のほうに力が回っていけないので、風邪が残ったまま時間だけ過ぎてしまいます。
すると、いざ、風邪薬が無くなった時には、まだ風邪が残っているので、前と同じ症状が
ぶり返してしまうのです。

それは「風邪薬を飲んでる間は治った気がしていたのに、薬が無くなったらぶり返した。」のではなくて、「風邪薬を飲んでいる間に、ちゃんと治さなかった。」という事なのです。
つまり、風邪を治す薬というのは、病院にはないのです。
その代わり、すべての家庭に必ずあります。
分かりますか??

(主婦)
<ちょっと追い込まれた様におどおどしながら>
それって、寝ていろってことですか?

(私)
そのとおり、「まくら」が、風邪を治す特効薬なのです。

(主婦)
やっぱり休まなきゃだめなんだ。
でも、以前には一晩寝て起きればたいていの風邪なんか吹き飛んでいたのに、なんで今回に限ってこんなにしつこいのかしら?なにか、よほど性質の悪い風邪じゃないの?

(私)
一概にはそうは言えません。
「休んでいるつもり」というのと「しっかり休んでいる」というのは同じ事ではありませんし、「朝起きた時にはちょっと良かったのに、日中動いていたら夕方げんなりした」などという話も良く聞きますが、これなんかは、安静が足りない典型例になります。
それに、弱った体でも吸収できる優しい食べ物を選んで、しっかり食べて体力を落とさない様にする事と、発熱で失われる汗に負けないように十分な量の水分を補給して、脱水症を起こさせないようにする事も大事になります。

(主婦)
え?そんな事はちゃんとやっているわよ。

(私)
なによりも若くて体力が余っていた時期なら、多少ほかの事をやりながらでも短時間集中して休めば、十分免疫に回す力を捻出することが出来たかもしれないのですが、この余力というものは、ある年齢を超えるとやっぱりだんだん乏しくなってくるものなので、体力と相談しながらしっかり意識して休まないとダメになってくるものなのですよ。

(主婦)
<ちょっとギョッとして>
それって、年だって言うこと??


★前に戻る                       ★次に進む

[プロローグ戻る]