プロローグ
「お医者さんは山岳ガイド」
「糖尿病」今はやりのメタボリック症候群に代表される、生活習慣病の中の横綱。 今、どこも痛くもかゆくもないのに、ずっと病院に通わなければならない。 自分なりにちゃんと生活しているはずなのに、検査を受けるたびにいろいろ言われ、恐ろしい合併症が来るぞと脅される、いわゆる厄介な病気のひとつです。 「薬さえ飲んでいれば、万事解決できる」と思ってはいませんか? 「診断がつきさえすれば、治せない病気はない」などと考えてはいませんか? ほんとにそうなら、どれほど楽な事でしょう。 現代の医学でも、診断をつけられない病気というものは存在します。 そして、たとえ正しい診断をつけられたとしても、残念ながらいまだに治療法が分からない病気というものも数多く存在します。 その上、症状を鎮めて正常な生活を維持することができる治療法が分かっていても、それが必ずしも「病気の原因そのものを無くする治療ではない」ということもしばしば。 実は、普通のお医者が一番多くの時間を費やしているのは、そうした正しい治療を続けることで天寿を全うできる人々を相手に、あえて危険な道に踏み込まないように道順を注意したり、より安全により楽々と歩けるような道具を用意したり、人の一生という険しい山の中で山岳ガイドをやっている様なものです。 うまく息を合わせて、一病息災を保ちながら、納得できる一生を閉じて頂けることもありますが、残念ながら、息を合わせられずに、出会わなくてもいい災難にあってしまう事もあります。 ちょっとした思い込みに気付くだけで、もっと快適であなただけのあなたらしい人生を送るため、もっと有益にお医者を使う事が出来るようになれるはず。 北の小さな町にある唯一の小規模公立病院、まさに地域医療最前線で日々投げかけられる訴えに向き合い交わされる会話、ちょっと覗いてみませんか? |
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